日記×続大和撫子(40)
室町時代の女性。
今回は、経覚の身内の女性達を紹介する。
ある時、経覚は実の名門貴族の家を継いだ兄危篤の知らせを受け、急いで駆けつける。
そこで待ち受けていたのは、兄亡き後の後継者問題だった。
この兄、よせばいいのに、孫(10)と実子(4)の両方を後継者に指名する譲り状を書いていたのだ。
おかげで、双方の母親が対立し、困っているので、昔自分の兄の僧侶がしてくれたように、僧侶になった弟の経覚に解決して欲しいと言う。
経覚が呆れたのは言うまでもない。
この後、経覚が兄の愚行を説教して、母親達が納得する妥協案を提示し、お家騒動を回避するのだが、注目すべきは後継者達の母親達だ。
片や現役未亡人、片や未来の未亡人なのだが、幼い息子達に代わり、家の覇権を握ろうと一歩も後を引かない。
これは、我が子を将軍後継者にしようと奮闘した日野富子と同じ行動だ。
旧来の研究では、応仁の乱の原因を作った悪妻とされていた。
だが、最近では職務放棄した夫の代わりに奮闘した女傑と評価が変わりつつある。
しかし、経覚の実家を見る限り、室町時代の女性達は幼い我が子の代理で権力闘争をするのは、珍しくも何ともない、当たり前の行動であったと思われる。